夏目漱石は愛情に飢えた人間だったから文豪になれた?
こんにちは!夏目漱石の綺麗で尊いような脆い文章が好きなAoneko( @blue_cats03)です。
今回は、「夏目漱石とコンプレックス」についての記事です。
芸術家や作家などの作品は、コンプレックスの影響を受けているものが多くありますが、夏目漱石にもコンプレックスがあったと筆者は思っています。
夏目漱石は、両親が高齢だったためいわゆる「恥かきっ子」として生後すぐ里子に出され、親に愛されなかった記憶は生涯つきまといました。
漱石の作品は、自分のコンプレックスに向き合い、克服する過程で産み落とされたものといえるでしょう。https://t.co/F6neZq7Vgr#文豪 #作家 #愛情 #飢え— Aoneko Lab (@blue_cats03) October 18, 2020
親の愛情を知らない夏目漱石
『吾輩は猫である』『坊っちゃん』などで有名な夏目漱石(夏目金之助)は、江戸牛込馬場下横町 (現在の新宿区喜久井町)で数代前からの名主のもとに生まれますが、生後4ヶ月で里子に出され、3歳のときには養子になります。
夏目漱石が9歳になってようやく実家に引き取られますが、籍が戻ったのは22歳のときでした。そのため、夏目漱石は、本当の親の愛情とはどんなものかを知らぬまま育ちました。
漱石は幼いころ里子に出されていて、いわゆる親からの愛情不足で複雑なこころの持ち方をしてしまったのだけど、それが彼の作品を彩るものであったし、言葉として表現することで彼自身が癒されていたのだと思います。
— 小沢まなみ (@manami_038) September 24, 2016
本当の愛情を知らないということは、生きていくうえで基本的な感覚や信頼感というものが欠けてしまったり、不安なまま生きていくということです。
このような人たちは、自分の人生を支える価値観、哲学といったものを完成することなしには、安定することはないでしょう。
もちろん、そのようなものを完成させるには、それができる資質が備わっていることも必要であるほど大変なことです。
夏目漱石はそれを果たしたからこそ、「文豪」とまで呼ばれるようになったのであり、その作品は、ほとんどが自分のコンプレックスを克服する過程で産み落とされたものといえるでしょう。
漱石の書簡や随筆を読むと、彼が義務や契約に拠らない無償の人情を渇望し、自らもそうした徳を発しようと務めていたことがわかる。それは彼が、前近代である江戸の終わりに生まれたからだけではなく、親の愛情を充分受けられなかった寂しい生い立ちを、意志的に乗り越えようとした結果であるとも思う。
— サクラ・ヒロ (@sakurahiro_info) March 3, 2019
夏目漱石の代表作『坊ちゃん』
夏目漱石の代表作『坊っちゃん』では、女中の清婆さんが深い愛情を坊ちゃんに注ぎますが、幼少時代から、2度も「養子」に出された金之助(漱石)にとっては、愛を育んでくれる筈だった「母」を清の中に見ていた、ということになります。
『坊ちゃん』は漱石の、愛情に恵まれなかった子供時代の想いやそこから出来上がったパーソナリティが他の作品より埋め込まれているように思うので、ついそっちの文脈で読んでしまう。
— 水谷美紀 (@mikijyo1101) June 22, 2011
夏目漱石最後の完成作『道草』
『道草』は夏目漱石の最後の完成作です。子を物のように扱い、養子に出してしまう生みの親の様子や、 養子として引き取るも心からの愛情はなく、大人になってからは再三お金の無心に来る養父母など、夏目漱石の体験が色濃く反映された私小説的な作品です。
碧さんにおすすめ純文学を教わったので、私が好きな古めの文学をご紹介しときますね。①夏目漱石『道草』漱石の私小説。全体的に人間くささがぷんぷんと漂う作品。シニカルな漱石の描くリアルな人間模様と、当時の人々の生活が見どころ。個人的には漱石が熊本で買った外套の末路に笑った作品。
— ねころ部長@熊本 (@necorobucho) June 11, 2018
母子のコンプレックスは夏目漱石だけではない
母子のコンプレックスを抱えていた文豪は夏目漱石だけではありません。芥川龍之介や太宰治なども、人生の出発点である母子関係がきわめて希薄だったり、欠損していたためにかなり強度なコンプレックスに陥ったようです。
コンプレックスに向き合い、文豪・夏目漱石は生まれた
夏目漱石は、コンプレックスに吞み込まれることなく、それに気づき、自分のコントロールの範囲に置くことができたからこそ個性的で創造的な作品を生み出すことができたのだと思います。
今回は、「夏目漱石のコンプレックス」についての記事でしたが、当サイトでは、「三島由紀夫とコンプレックス」に関しても解説しています。よろしければご覧ください。
【関連書籍】『三島由紀夫とコンプレックス』