書評 破天荒フェニックスがめちゃくちゃ面白い

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絶対に倒産すると言われたオンデーズを30歳の社長が買収して再建した話

この書籍は、20億の売り上げしかないのに14億の負債を抱えていたオンデーズ(メガネの販売を行うチェーン店)を当時30歳であった田中修治氏(以下、田中社長)が3,000万円の増資を引き受ける形で、オンデーズの株式の70%以上を取得し、代表取締役へと就任し、会社を生まれ変えさせたリアルな物語です。

 

昨今のIT技術の革新で、大学生が在学中に起業をする等、起業や会社経営のハードルは徐々に下がってきているように筆者は感じます。他方で、会社経営というのは、決してキラキラしたものではなく、実際の現場では、泥臭く、時に涙を流し、人に裏切られ、倒産の危機に晒される等、ドロドロしたものです。

筆者も社会人を何年か経験したことで、社会はいい意味でも悪い意味でも本当にドロドロしているなぁと痛感しております。

 

この書籍『 破天荒フェニックス』は、そんなドロドロしたリアルな会社(オンデーズ)の内側を学べるめちゃくちゃ面白い本です。

本書籍は500頁程ありますが、オンデーズのリアルな会社の経営状況は、自分自身もオンデーズの社員として、ジェットコースターに乗っている感覚で、気がつけば、最初から最後までぶっ通しで読んでおりました。いや〜面白かった。

 

写真:筆者撮影

写真: 破天荒フェニックス

 

 

感想1: 会社経営にはファイナンスのスペシャリストが必要

オンデーズ買収時、田中社長は金融のプロである奥野氏を口説き、オンデーズに合流させました。

奥野氏の経歴は、メガバンク→大手の再生ファンド→投資コンサルティング→ベンチャー企業の経歴を経て、オンデーズに合流といった流れです。

幾度となく生じる資金ショートの問題の際、銀行との折衝や資金調達など、金融のプロでなければ立ち回れない俊敏な対応で、オンデーズの倒産を何度も回避させたその手腕には唸るものがありました。

オンデーズは田中社長の改革によって生まれ変わったと評価されがちですが、筆者は奥野氏がいたからこそ、オンデーズは倒産せずに生き残れたのだと感じました。

 

感想2: 熱い社員がいたからこそオンデーズは成長できた

金融のプロである奥野氏は財務の専門家として、田中社長の破天荒な経営戦略に対して冷静な判断を下すことが多い印象でしたが、時に男らしく熱い気持ちをみせる一面もありました。

 

田中社長が資金繰りで四苦八苦している際、

 

田中社長
田中社長

奥野さんには資金繰りで苦労ばかりかけて本当に申し訳ないと思っているよ。

 

田中社長の写真出典:twitter @shuji7771

 

奥野氏
奥野氏

私は昔から苦労するのが嫌いじゃない性格なんですよ。

それに時々失敗する人間の方が私は好きです。

何でもソツなくこなして抜け目なく世渡りしている人間は、どうしてもイマイチ好きなれない。

少しおっちょこちょいで、何をはじめるのか予測不能。破天荒なくらいの方が人間らしくていいじゃないですか。味がある。

だから私は社長を嫌いになれない。

 

奥野氏の写真出典:twitter @YoshitakaOkuno

 

 

こんなことを言われたらグッときますね。

奥野氏のような熱くて信頼のおけるパートナーがいたからこそオンデーズは成長したのだと思いました。

 

また、以下は奥野氏が熱い人だなぁと感じた別の話です。

田中社長がオンデーズを買収した当初は、奥野氏は出向という扱いで合流していました。

オンデーズの経営状況を知った出向元の社長からは、

 

嫌な社長
嫌な社長

適当に仕事をして、抜ける金があれば抜いてこい

 

と、奥野氏に指示しました。

 

その時、奥野氏は、

 

奥野氏
奥野氏

これじゃあまるで、路線に転落した子供を見ても、適当に助けるそぶりでもしていろと言われたのと同じじゃないか。

 

と、激しく失望し、数日後、出向元の社長に辞表を突きつけました。

 

嫌な社長
嫌な社長

会社辞めてオンデーズに行くのか。

君ね、面白そうだからと簡単に移られたら困るんだよ!

 

奥野氏はすかさずこう言い返しました。

 

奥野氏
奥野氏

そんな理由じゃない。あなたが信用できなくなったからだ!

 

奥野氏、熱いですね。

そして、ビジネスをする上では、信用はとても大切です。

信用があれば、大きな仕事を任せてもらえるかもしれませんし、評価も高くなります。

一方で、信用が失われれば、仕事やチャンスは貰えませんし、人は離れていきます。

 

ビジネスをする上で、信用を積み上げることや、人として真っ当な生き方をすることはとても大切です。

目先の金儲けのために人を裏切るようなことをしていると、その時は一時的に儲かるかもしれませんが、人はどんどん離れていってしまいます。長期的にみると損をしてしまいまいます。

 

感想3: スタッフの事を考えたからこそオンデーズは成長した

田中社長はどんなに経営が苦しくても、給料をカットすることや社員の削減(リストラ)はしませんでした。

 

奥野氏
奥野氏

社長、財務担当の役員として、ハッキリ言わせてもらいます。

リストラしなければ赤字はとまりませんよ?

できることなら自分だってリストラなんてしたくないです。でも会社を存続させるためには詰め腹を切るのは止むを得ないのではないでしょうか。

 

田中社長
田中社長

奥野さんの言っていることもわかるけど、会社が生き残るためにスタッフを大量にリストラすることは、今のオンデーズにとって絶対に悪手だ。全国のお店を見てまわって解ったけど、俺たちメガネ屋っていう商品は『人』の要素が半分以上をしめているんだ。接客や視力測定にレンズの加工、それらがちゃんと提供できて初めてお金が預けられる。言うなれば、スタッフも商品の大切な一部だ。

だからその大切な商品を失ってしまったらお店の商品を半分以上捨てることと同じになってしまう。

 

全体で見れば赤字額は莫大だけど、ひとつひとつのお店で考えれば、月にほんの数十万円程度の赤字がほとんどだ。ということは、一日にしたら、たった3-4本多くのメガネを今より売れれば赤字はなくなるんだよ。たったそれだけなんだ。

そっちの方が閉店してスタッフをリストラするよりもよっぽど簡単だし建設的でしょ?

 

端から見れば、リストラせずに財務を立て直すといったやり方は破天荒だと思いますが、結果的にこのやり方は成功します。

田中社長は、いきなり各店舗に「月間100万円、今よりも多く売り上げを上げろ!」とは言いませんでした。

時間ごとに小さく目標を設定させて、目の前のあとメガネ1本を、多く売ることだけをスタッフに考えさせて、各スタッフが行動するように細かい指示を出しました。

売り上げ目標の細分化により、各店舗の売り上げは上がりました。

そして、スタッフのリストラも回避されました。

 

また、田中社長のモットーは、

 

田中社長
田中社長

企業は「人」そのものだ。

 

と、仰っているように、スタッフを大切にします。

田中社長が就任する前のオンデーズは、売り上げが好ましくない店舗のスタッフは、泣く泣く自社のメガネを買わされていましたが、田中社長は、その現状を知り、激怒します。

 

田中社長
田中社長

無理矢理自分の会社の社員に商品を買わせて、売り上げを作るなんて、どんな赤字でもダメに決まっている。

部下に対して、自分買いを強制したものは厳罰に処し即刻解雇する。自社の商品を買う場合は、必ず自分の自由意思でやること。

 

このように現場で気づいたことはすぐに改善して、スタッフが気持ちよく働ける環境を整備したことで、スタッフの笑顔が自然に増え、スタッフの仕事に対するモチベーションも上がっていきました。

田中社長の人柄、その人柄に惚れてついてくる社員達。

どんなに素晴らしい経営戦略があっても「人」が魅力的でなければ、優秀な人材は集まらず、会社は成長できないのではないのかと思います。

破天荒フェニックス、オススメです。

 

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